温泉騒動



スピラにあるガガゼト山の近くにとめてある赤い飛空挺の中、

一人のモヒカン頭の男がうろうろうろうろ(以下省略)…と意味もなく歩き回っていた。

 

「あ゛ー!心配だ心配だ心配だ…!」

 

頭をかかえては、意味もなくうろちょろと歩き回るモヒカン頭。

 

「あそこには変な物体達(←ロンゾ族)がうようよいるんだぜぇ…?
 可愛いユウナを気に入って…
あぁあああああ!!!!!!

「お前、さっきからうるさいぞ。」

 

近くにいたアルベド族の男が呆れた声で言う。

モヒカンはそいつをギロリと睨む。

 

「ダチぃ!てめぇ人が心配で心配でろくに飯も食えないってのに
 うるせぇなんて…
ダチなんてダチじゃねぇ!!!

 

ひゅ〜と冷たい風が飛空挺を駆け巡る。

 

「………寒いな。」

「あぁ?ガガゼト山の近くなんだから当たり前だろ〜?」

「いや、そういう意味じゃないんだが…

 

ダチがぼそりと呟いた。

その呟きは扉が開く音によって聞こえることはなかった。

 

「たっだいま〜♪ちゃんとルスバンしてた〜?」

 

開いた扉の向こうから陽気な声が聞こえた。

そこには3人の女性がいた。

いかにも盗賊っぽいのとクールなのと可愛い顔して拳銃2丁を巧みに扱う3人だ。

その3人…いや、正確には1人に、モヒカン頭はドダダダダダと大きな足音を立てて近づいた。

 

「おぉおおおおお!!ユウナっ!無事だったか?怪我してないかー!?」

「だ、大丈夫だよ、アニキさん…(汗」

「怪我どころか、あたしたち温泉入ってリフレッシュしてきたんだよー♪」

「なにぃいいい!?ってことはその時ユウナははだ」

 

ヒュンッと良い音を立ててアニキのすぐ横を剣が通った。

残り少ない大切な毛が2,3本抜け落ちた。

剣が怖かったのか毛が抜け落ちたのがショックだったのか、アニキは白目をむいて放心していた。

 

「「!!!!!!(汗)」」

「…さて、戦闘服も3人分手に入れたことだ、ルブランの館に行くぞ。」

「ひぇー…パインはあいっかわらずこっわいなぁ…。」

「そうか?ごく普通だろ。」

 

確信犯なのか素で言ってるのか、その表情からは読み取れなかった。

何事も無かったかのように階段を降りるパイン、その後を2人が追いかけるように走る。

その頃、ようやく放心状態が解けたのか、アニキが白目状態から解放された。

 

「そういえばガガゼト山って寒いよね〜温泉入った後なのに鳥肌立っちゃったよ〜」

「お前のその格好が寒いんだと思うんだけどな。」

「…パインだって薄着のくせに〜!」

「何言ってるんだ?これは皮膚じゃない、上から下まですべてきぐるみだ。

「えっ!?ウソ?!」

「そう、嘘だ。」

「……パイン〜!!騙すなんてズルイ〜」

「普通、騙されないと思うんだけどなぁ…」

 

ポツリとユウナが呟く。

 

「ね、もう一回温泉入らない〜?」

「時間の無駄だ、どうせこの服の上に戦闘服着るんだ、寒くなくなる。」

「でもでも〜!」

「ちょ、ちょっとならいいんじゃないかな?もうすぐ日が暮れるし、館に行くのは明日にすれば…」

「ほら、ユウナんもこう言ってることだし〜ね、ね?」

「………だが」

リュックの言うとーーーーり!もう一回温泉に行くべしっ!!」

「うわっ!アニキ!?どっから沸いて出てきたのっ!?」

「リュック、それじゃぁアニキさんがダニみたいだよ…(汗)それじゃ、またアニキさん達待ってるの?」

「違う違うちっがーーーーーーーーう!!オレも行くっ!」

「………アニキ、それってユウナんの水着みたいからじゃないの?」

「ち、違うっ!さっき教えてくれればさっき行ったんだ!だから違うっ!!

「何が違うんだ…」

 

意味不明な言語のアニキをつっこむパイン。

 

「あっれ〜?でもさっき温泉でアニキと交信したよね?その時来るって…」

「何のことだ?さっき?…記憶がないぞ。」

「そういえば悲鳴、聞こえてたよね…」

「あ、そいえばダチがとめたんだっけ?ねぇダチーどうやって止めたのー?」

 

どうでもいいことというのはどうでもいいことだがら知りたくなるのだ(意味不明)

呼ばれたダチは操縦席からリュックの質問に答えた。

 

「はりせんで叩いて気を失わせてから、
 後で温泉に行かないようにちょっとだけ記憶を抹消する薬を飲ませただけだ。」

「それってかなりやばいんじゃ〜…」

「別にやばくはないと思うぞ、私は。」

「どーして?」

「そのままアニキが気づいてこっちに来たらただじゃ済まなかっただろうからな。
 まだ優しいほうだと思うが。」

「…あは、ははは〜」

「こんなところで無駄話してる時間はなーい!!さっさと行くぞ!ガガゼト温泉へ!ィヤッホーイ!!」

 

そのままアニキは飛空挺を降りて行った。

温泉の場所を知らずに行くんだからたいした根性だ。

 

「…どうする?」

「このままでいんじゃない?アニキにユウナんの水着見せるってのも嫌だし〜」

「でもアニキさん、私達がいかなかったら戻ってこないかも…」

「…いっくらアニキでもそんなこと〜」

「しそうだな。」

「…そだね、アニキだし…。」

 

結局3人はまた温泉に行くはめになるのだった。

 

「僕も行くし。」

「シンラ君も?」

「へぇ〜、温泉好きなの?ジジ臭い趣味ね〜」

「……寒いからだし。」

「あ、そ。…ダチはどうするの?待ってる?あったまる?」

「1人だと退屈だしな〜…」

「じゃぁ、行こっか!」

「2度目の温泉おんせ〜ん♪」

 

こうして5人はアニキを探して3000里 今度こそ温泉に向かった。

途中道はすっごい寒く、行くまでに凍死するんじゃないかってほどだ。

途中で敵と戦うと、ちょっとは寒さも免れる。(それだけを理由に逝ったモンスター達…)

そして5人はついに温泉の湯煙が見えるほど近くにきていた。

良く見ると人影も見える。アニキは無事に着いていたらしい…が

 

「あ、アニキさんに……きっキマリ!?

 

温泉につかっていたのはアニキ、そしてキマリだったのだ。

 

「キマリ…どうしてこんなところに?」

「そーそー、ロンゾの聖地とか言ってなかった?」

「ここはロンゾの聖地の温泉っ!だからツノ生えるっっ!!

「無茶苦茶だな。」

「温泉だけで伸びたら苦労しないし。」

「それでも信じたいんだろ、ツノがないってことは髪がツルッツルと同じくらい辛いんだ。」

「なんでそんなこと断言できるのよ…(汗」

「実はダチさん、ヅラなんですか?」

 

本人の前でヅラですか?って聞けるのは勇気があるのか無鉄砲なのか純真なのか。

ダチの顔が一瞬だけ凍りつく。

 

「断じてない、それは。髪がないのはアニキだけで充分だっ!」

「んぁ〜?誰か呼んだか〜?」

 

アニキはようやっと気づいたのかユウナ達の方を向く。

 

「おぉ!ユウナ!!来てくれたか!さぁつかるんだ、温泉にっ!」

「え?あ、はい?」

「ちょっと!まだ水着着てないんだから急かさないでよ〜」

「…服の下に着っぱなしじゃないのか?」

「だ、だって寒くなるじゃん!水つきっぱなしじゃ…」

「私、ファイアで乾かしちゃったよ?」

「…………ちょっと!あんたたち、着替えてくるから覗くんじゃないわよ〜!!!」

 

リュックはそういって姿を消す。

 

「…律儀に脱いでたのか…。私達は先に入ってるか。」

「…そうだね。」

 

ユウナとパインは水着になるとほぼ同時に温泉に入った。

外の寒さからいきなり暖められて、体がヒリヒリと痛んだ。

 

「…ふぅ〜…良い湯だね〜v」

「そうだな。」

 

いつの間にやらダチも入っていたようで、アニキと漫才に花を咲かせていた。

キマリはツノをあたためるように沈んでいた

 

「!!!き、キマリっ!?大丈夫!?」

「ぶくっ…ぶくくく…ぶくぶ〜」

「…暖めてるってより溺れてるな。」

「た、た、た、助けなきゃ!?」

「ユウナ、今立って助けに行ったら上半身が地獄のように寒くなるぞ。」

「!!!!…キマリ、ごめんねっ!

 

ユウナは諦めが早かった。

その時、ようやく着替えが終わったのか、リュックが体をブルブルと震えさせながら温泉に向かって
早足で歩いてきた。

 

「ひゃ〜寒いぃぃい!たぁーーー!!!」

 

ザブーンとリュックが温泉にダイブする。

跳ねたお湯が頭にどばっとかかった。

 

「うー!寒くて熱くて痛いーーー!!」

「リュック…いきなりダイブって…そうとう寒かったのね。」

「ユウナん!寒いなんてもんじゃないの!もうギップル生贄にするから温泉早く〜って思ってたよ!」

「生贄…(汗)しかもギップルさん……」

「そういえばシンラはどうしたんだ…?」

 

あたりを見渡してもいない。

いるのはユリパの3人と、ダチ、アニキ、そして泡(笑)だ。

 

「…シンラ君の素顔って、どんなんだろ…。」

「………まさか…神話で読んだ顔が真っ黒で目がキラーンな物体…!!?」

「さすがにないだろ、溶けたんじゃないか?

「…(そっちの方がないんじゃ…)アニキさーん!シンラ君見ませんでしたかー?!」

「ユウナ!水着姿も可愛いぃいい!今そっちに行くぞぉおおおお!!」

「…ダメだ、話しにならない。」

「あは、あはは…」

 

バシャバシャと物凄い速さの犬掻きでくるアニキ。

そりゃもうマッハ単位といいますか…。

 

「ユウナ!もっと早くこっちに来たかったんだがダチが急にボケやがって
 オレがツッコミいれてたんだ!許してくれユウナーーーー!!!」

「え?な、何を…?」

「…で、シンラか?」

「急に話しに戻るな〜!」

「シンラはさっきまで一緒だったんだけど…そういえばいないなぁ…」

「ど、どんな格好で!?」

「格好?そりゃいつもと同じだったな。」

「…は?」

「あの分厚い服とガスマスクみたいな奴のまま入ってたぞ。」

「……そこまでして顔を隠す…か…」

「で、今はどこにいるのかなぁ?」

「さぁ?もしかして本当に溶けてたりしてねー」

『その通りだし』

 

脳に直接話しかけられるように、シンラの声が聞こえた。

その通りってことは溶けてるってことで、溶けてるってことはこの温泉は…

 

「しっシンラ温泉っ!!!

聖なる水が一発で汚れる発言だな。

「あたしもう出よっかなぁ…こんな温泉…」

「いやっ!まだユウナの水着が見たりないぞーーーー!」

「アニキさん、このまま夜になっちゃったら帰るときすっごく寒くなるよ?」

「そーそー、あたしたちはドレスフィア重ね着すればいいけどー」

「…できないだろ、重ね着…」

「いっそのことファイガでガガゼト山自体をあったかくしちゃわなーい?

「だ、ダメだよ、それじゃロンゾ族が…」

「ユウナん、もしかしたら雪が溶けてすんごいスフィアが手に入るかもよ?たとえばティーダの…」

すんごいティーダスフィア!?……あ、だめだめ…」

 

一瞬、というか数秒間ユウナの目がキラリと輝いた。

と、いうか今でもまだ少しやっちゃいそうな目をしている。

 

「大丈夫だユウナっ!オレが遠隔操作で飛空挺を呼ぶっっ!!」

 

アニキはどこからともなく遠隔操作機をとりだした。

 

「…それ、水浸しじゃん…。」

「耐水性、あるの?」

ないっっ!

「………馬鹿が。」

「じゃ、じゃぁまだ温泉にいよう!そしたら風も気持ち良いくらいに感じる……かも。

「…そだね、どーせそんなに気温なんてかわんないよね〜。」

「そぉおーーーーーーだ!まだユウナの水着が見たりな」

ツノアタックっっ!!

「!!き、キマリ!?」

「ユウナの敵はキマリの敵っ!キマリ、ツノなくても刺せる。ぶっすり刺せるっっ!

「そ、そう?あ、ありがと…う?なのかな?」

 

刺されたアニキはというとそりゃもうどこに刺さったのかしらないが

赤い液体がさーっと温泉に広がった。

 

「!!!…こ、これじゃぁ……アニキ(さん)&シンラ(君)温泉っっ!?

「…さすがにね、アニキの血の中につかるのはやだなぁ…」

「せっかく温泉につかったのにこれじゃ汚れる…出るぞ。」

「はいは〜い♪」

「え、でもアニキさんが…!」

「まかせろ、ユウナ。こいつはキマリが立派なロンゾにするっ!!

「え、えぇえ!?ロンゾって…アニキさんはアルベド…」

「違う!こいつにはツノがある、黄色いツノがあるっ!!

「それ、モヒカンだよ…」

「ま、いなくてもあまり困らないしな、預けていいんじゃないか?」

「ユ…ユウナ……」

「アニキさん……立派なロンゾになってくださいっ!!

「ってことだ、帰るぞ。」

 

パインはさっそく帰り支度を始める。

 

「ユウナ、服を乾かしてくれ。」

「はい!」

 

ユウナはロッドを持ち、精神統一する。

 

「(どうせ使うなら威力が高いほうが早く乾くかな?)よし、
 
ファイガっ!!!

 

ぼわぁっと山全体を赤い炎がめらめらと包み込んだ。

日ごろから魔法なんてあたりまえな3人はそりゃもう軽傷というか

かすり傷一つない状態だったが、アルベド族ロンゾ族液体含め、4つが重症をおい、

さらには山の下のロンゾ族にも多少の被害が加わるという大事件だった。

ちなみに『すんごいティーダスフィア』は発見されなかったそうだ…

 

 

 

後日

『緊急速報です。昨日午後、ガガゼト山で異常気象が発生しました。
 そのせいで雪は溶け、ロンゾ族の生活が心配されています。
 何故このような異常気象が起きたのかは不明です。』

 

〜Fin〜



あとがき



おちゃめなユウナさん万歳っっ!!
意味不明なところ満載ですみません…(汗
えと、KagraさんのリクエストのFF]−Uの
ユリパ+アニキのギャグです。
ギャグになってんだかなってないんだかアニキが何か悲惨ですよ(汗
ふつつかな小説をよろしくお願いします(笑)






水無月ユエさんのサイトで20000番をゲットしたときにリクエストした作品です。
『10−2のカモメ団のギャグ小説で』とリクエストしたところ、すごい作品が出てきましたw
なんか、アニキがとんでもないことになってしまっていますねww
早い話が『アニキ惨劇』ということでしょうか(爆
本編に出てくるアニキよりもかなり暴走しちゃっているのが……w
思っていたのよりも何倍も激しいアニキの行動に大ウケしてしまいましたw

ユエさん。素敵な小説を書いて頂き本当にありがとうございました。



モドル